精子とがん細胞の意外な接点
‐がん・精巣抗原タンパク質TEKT5による精子形成とがん増殖の制御機構-

【発表のポイント】
1. 生殖細胞とがん細胞で特異的に共通して発現する、がん・精巣抗原(CTA)遺伝子の機能スクリーニングにより、過半数のCTA遺伝子が、がん細胞の増殖・生存に関与することを明らかにしました。。
2. CTAの一つであるTEKT5が、細胞骨格を作る微小管の構成タンパク質であるチューブリンの制御を介して、がん細胞の増殖・生存、および精子形成に働くことを明らかにしました。

【概要】
 東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センター 松居靖久(まついやすひさ)教授、東北大学生命科学研究科博士後期課程 青木七菜(あおきなな)らの研究グループは、精巣の生殖細胞とがん細胞で特異的に共通して発現する、84種類のがん・精巣抗原タンパク質(CTA)の過半数が、がん細胞の増殖・生存を促進する働きがあり、さらにそのひとつであるTEKT5が、精子形成にも働いていることを明らかにしました。本研究成果は、がん発症の新たな制御機構の解明と、それを利用した治療法の開発に繋がり、また生殖細胞とがん細胞の制御機構の接点の解明につながる可能性があります。研究結果は、6月17日にMolecular and Cellular Biology誌電子版に掲載されました。

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図 TEKT5の作用機構
CTAの一つであるTEKT5は、微小管のチューブリンへの脱重合を阻害することにより、がん細胞の細胞周期を抑制するシグナルを阻害することで増殖・生存を促進し、また精子形成の最終段階で必須な機能を果たす。

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先
東北大学加齢医学研究所
教授 松居靖久(まついやすひさ)
電話番号:022-717-8571、022-717-8572
E-mail:yasuhisa.matsui.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)