日時: | 令和元年7月31日(水)午後5時00分〜6時30分 |
場所: | 加齢研実験研究棟7階 セミナー室 1 |
演題: | 治療耐性がん細胞を標的とした新たな治療戦略 |
講師: | 佐谷 秀行 |
所属: | 慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門 |
担当: | 本橋 ほづみ(所属 遺伝子発現制御分野・内線8550) |
要旨: | がん幹細胞は、がん組織の起源となり、その維持を担う細胞である。臨床的に見てがん幹細胞の最も重要な特徴は、種々の治療に抵抗性を示し再発や転移の原因になることである。しかし、その治療耐性のメカニズムは多彩であり単純ではない。がん幹細胞が樹立する機構としては、体性幹細胞にドライバー変異が導入され、がん幹細胞に変化するもの(幹細胞起源型)、慢性的な炎症を背景として前駆細胞から脱分化してがん幹細胞に変化するもの(前駆細胞起源型)の2つが考えられている。がん幹細胞の治療耐性機構はその成立機構の違いを反映し、通常のがん細胞に比べて巧みな生存戦略が内在されている。幹細胞型では分化制御のメカニズム(1-2)が、前駆細胞起源型では活性酸素を抑制するメカニズム(3-5)が治療耐性に関与することを私たちは明らかにしてきた。 本セミナーではこれらの治療耐性機構を基礎研究データに基づいて解説し、それに対する新たな治療戦略(6,7)を提示したい。 参考文献 |