◇平成28年8月1日(月)加齢研研究員会セミナーのご案内
日時: 平成28年8月1日(月)午後4時~
場所: 加齢研実験研究棟7階 セミナー室1
演題: 多発性骨髄腫由来exosomeは骨芽前駆細胞の分化を抑制する
講師: 幾尾 真理子
所属: 徳島大学大学院医歯薬学研究部 総合薬学研究推進室
担当: 林陽平(医用細胞資源センター・内線8572)
要旨: 形質細胞のがんである多発性骨髄腫は骨症状を示す。分泌小胞exosomeは細胞間情報伝達に寄与する。今回我々は多発性骨髄腫が分泌するexosomeが骨芽前駆細胞の分化を抑制することを明らかにした。BMP2はSmad経路を活性化し転写因子dlx5遺伝子の発現促進を介してRunx等骨分化因子の発現を促進する。BMP2によるdlx5遺伝子プロモーター活性の誘導を多発性骨髄腫由来exosomeは阻害したが、Smadリン酸化と核内移行を阻害しなかった。以上の結果は多発性骨髄腫由来exosomeが骨芽前駆細胞におけるSmadの機能を核内において抑制し、骨分化を阻害することを示唆する。本発見は多発性骨髄腫や骨代謝細胞におけるexosomeの機能とその分子機構を示した数少ない報告であり、多発性骨髄腫や骨関連疾患における新規創薬標的の提案につながることが期待される。