脳内の細胞活動変化を網羅的に解析する方法を提案 〜一時的な睡眠不足による神経活動変化を検証〜(統合生理学研究分野:佐藤准教授)

【発表のポイント】
⚫ 様々な身体の不具合につながる一時的な睡眠不足(注1)で起こる脳神経活動の変化を網羅的に解析しました。
⚫ 一時的な睡眠不足によりもたらされる脳領域間の結合性(注2)の変化を世界で初めて定量的に示しました。
⚫ 遺伝子改変モデルマウスと半自動脳アトラスレジストレーションツール(注3)を組み合わせることで、心理的な偏りのない網羅的な細胞活動変化の解析を可能にする方法を提案しました。

【概要】
睡眠不足は、私たちの日常生活に悪影響を及ぼしうる大きな社会問題となっています。加齢医学研究所統合生理学研究分野の佐藤亜希子准教授(兼務:国立長寿医療研究センター・副部長)、漆畑拓弥助教、国立長寿医療研究センターの後藤三緒研究補助員、壁谷慶子研究補助員、辻将吾研究員らは、マウスを用いて、脳内の細胞活動変化を網羅的に解析する新たな方法を提案しました。そしてこの方法を用いることで、一時的な睡眠不足による脳内の神経活動変化と領域間の結合性変化を定量的に検出できることを示しました。
本研究は至学館大学栄養科学科の清塚麻衣学部生、丸山栞穂学部生、栄養科学科/健康科学研究所の多田敬典教授との共同研究により実施されました。
本研究成果は、10 月 19 日に国際学術誌 Frontiers in Neuroscience に発表されました。

図 脳内の活動化神経を網羅的に解析する方法の流れ。
SD 中に活性化した神経を標識し、脳マルチスライスの画像を取得(Step1)。活性化神経の xy 座標(Step2-1)と脳領域(Step2-2)の決定。各脳領域における活性化神経数の計測(Step3)。

【用語説明】
注1. 睡眠不足:
睡眠絶対量が不足した状態。
注2. 脳領域間の結合性:
神経活動の同期度合いから脳領域間の相互作用の強さを規定する指標。
注3. 半自動脳アトラスレジストレーションツール:
既に領域が定義された脳地図(脳アトラス)画像と脳スライス画像を半自動的にアライメントすることで、脳スライス画像の全ての脳領域を決定させ、定量評価を可能とするツール。

詳細(プレスリリース本文)

【お問い合わせ先】
<本研究に関すること>
東北大学加齢医学研究所 統合生理学研究分野 准教授 佐藤 亜希子
E-mail:akiko.satoh.b7*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所 広報情報室
TEL:022-717-8443
E-mail : ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)