NRF2活性化が加齢性難聴を遅延させる 酸化ストレス除去能を持つ物質を用いた新たな予防法の可能性

【発表のポイント】
・生体の酸化ストレス応答注1を担うタンパク質NRF2が、加齢性難聴の進行を抑制することがわかりました。
・NRF2を活性化させる薬剤や食品成分を利用することが、加齢性難聴の新たな予防法になるものと期待されます。

【概要】
 加齢性難聴(老人性難聴)は、加齢に伴ってみられる聴力低下であり、現代の超高齢社会において、その患者数はますます増加していくことが予想されます。

 東北大学加齢医学研究所・遺伝子発現制御分野の本橋ほづみ教授の研究グループは、同大学院医学系研究科・耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野の香取幸夫教授らと共同して、生体の酸化ストレス応答を担うタンパク質NRF2の活性化が、加齢性難聴の進行を抑制する効果があることを発見しました。NRF2が全身で活性化しているマウスでは、内耳蝸牛で加齢に伴い蓄積する酸化ストレスが減少し、聴力の低下も防がれることを明らかにしました。本研究の結果から、NRF2を活性化させることが加齢性難聴の新たな予防法になることが期待されます。

本研究成果は、12月14日に英国の学術誌npj Aging and Mechanisms of Disease誌に掲載されました。

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図1 :蝸牛の加齢性変化
加齢に伴う酸化ストレスの蓄積によって、聴力にとって重要な蝸牛内の細胞や構造の消失や変性が生じる。

【用語解説】
注1. 酸化ストレス応答:体を構成する核酸やタンパク質、脂質などが、酸化されることで変化してしまう状況を回避するために、体に備わっている防御機構。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所
担当 本橋ほづみ
電話 022-717-8550
E-mail  hozumim*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)