日時: | 平成31年1月28日(月)午後5時00分~6時30分 |
場所: | 加齢研実験研究棟7階 大会議室 |
演題: | イミダゾールジペプチドによる抗酸化メカニズムの解析 |
講師: | 居原 秀 |
所属: | 大阪府立大学大学院理学系研究科 |
担当: | 本橋 ほづみ(所属 遺伝子発現制御分野・内線8550) |
要旨: | カルノシン(N-β-アラニル-L-ヒスチジン)、アンセリン(β-アラニル-N-メチルヒスチジン)、ホモカルノシン(GABA-L-ヒスチジン)などのイミダゾールジペプチド(Imidazole-dipeptides;IDPs)は、骨格筋や脳に多く存在することが知られている。IDPsは、金属キレート能、ラジカル消去能を有しており、抗酸化活性を示すと考えられている。しかし、IDPsのin vitroにおける抗酸化活性は、グルタチオンやアスコルビン酸と比べはるかに低く、IDPsの抗酸化メカニズムに関しては、不明な点が多く残っている。 今回、高速液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を用いて、マウス筋肉抽出液中に含まれるカルノシン、アンセリンおよび関連ペプチドを網羅的に解析し、IDPsの酸化修飾物である2-オキソ-イミダゾールジペプチド(2-oxo-IDPs)を検出した。多重反応モニタリング法、安定同位体希釈法を用いて、マウス各組織における2-oxo-IDPsの定量解析を行ったところ、2-oxo-IDPsは、脳、肺、心臓、腎臓、肝臓、筋肉でpmole/mgタンパク質のオーダーで検出された。また、敗血症関連脳症モデルマウスの脳内において、過酸化脂質の増加に先立ち2-oxo-IDPsの増加が認められた。さらに、カルノシン合成酵素恒常発現細胞では、過酸化水素による毒性が有意に減少し、過酸化脂質も有意に減少した。この時、細胞内2-oxo-IDPsは増加し、膜透過性catalase で前処理すると2-oxo-IDPsの増加は打ち消された。以上の結果から、IDPsは酸化ストレスを軽減し、2-oxo-IDPsは酸化ストレスに依存して増加することが明らかとなった。本講演では、2-oxo-IDPs産生メカニズムの解析、2-oxo-IDPs の抗酸化能など最近の知見も含めて紹介したい。 |