日時: | 平成30年8月21日(火)午後5時~6時30分 |
場所: | 加齢研実験研究棟7階 セミナー室1 |
演題: | マルチオミクスによるがんの代謝制御機構の解明 |
講師: | 曽我 朋義 |
所属: | 慶應義塾大学先端生命科学研究所 |
担当: | 本橋 ほづみ(所属 遺伝子発現制御分野・内線8550) |
要旨: | がんは代謝を切り換えてATPのみならず、生体高分子の前駆体を生産することが知られている。近年、がん特異的な代謝を標的とした抗がん剤の開発が精力的に行われているが、どのような分子メカニズムでがんが代謝をリプログラミングするかは不明であった。 我々は、大腸がん患者のがん組織と正常組織について、メタボローム解析および遺伝子発現解析を行い、代謝は腺腫の段階で変動し、がんのステージによらないことが判明した。また、次世代シーケンサによる変異解析、DNAメチル化解析、透過型電子顕微鏡などによって、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の変異は、代謝に影響を与えないことや、腺腫の段階でミトコンドリア異常が起きていることを見いだした。 さらに、大腸がん培養細胞を用いた実験によって、がん遺伝子産物であるMYCが少なくとも215種類の代謝反応を制御していることやMYCによって制御されるピリミジン代謝経路が、大腸がんの治療標的となることを見いだした。詳細を報告したい。 参考文献 |