◇ 2023年12月11日(月)加齢研セミナーのご案内
日時: | 令和5年12月11日(月)午後3時30分~ |
場所: | 加齢研実験研究棟7階セミナー室1 |
演題: | NAD World 3.0 哺乳類の老化•寿命制御における臓器間コミュニケーションの重要性と抗老化方法論 |
講師: | 今井 眞一郎 テオドール&バーサ•ブライアン卓越教授 |
所属: | ワシントン大学医学部発生生物学部•医学部(兼任) |
担当: | 佐藤 亜希子(所属 統合生理学研究分野・内線8544) |
要旨: | 私たちは、哺乳類における老化•寿命の全身性制御ネットワークを解明し、その理解に立脚した抗老化方法論を確立することを目指している。最近、視床下部背内側核に存在する特定の神経細胞群が、視床下部と白色脂肪組織間のフィードバック制御系を通して、老化に拮抗し、寿命を促進する重要な役割を担っていることを明らかにした。視床下部から白色脂肪組織へは交感神経系によって刺激が伝達され、それに応答して白色脂肪組織から、NAD+合成の律速酵素であるeNAMPT(extracellular NAMPT)が細胞外小胞(extracellular vesicles; EVs)に内包される形で分泌される。eNAMPT-EVsは視床下部のNAD+、特に背内側核のNAD+を増加させる。このフィードバックループを刺激することで、老化が遅延し寿命が延長されることが明らかとなった。一方、NAD+の合成中間体であるニコチンアミド•モノヌクレオチド(NMN)は顕著な抗老化作用を持ち、ヒトにおける臨床治験においても有意な効果が報告されつつある。本講演では、老化•寿命の制御ネットワークと抗老化方法論の社会実装について、”Productive Aging”を目指した展望について議論を進めていきたい。 |