日時: | 令和2年2月19日(水)午後4時30分〜 |
場所: | 加齢医学研究所 実験研究棟7階 セミナー室(1) |
演題: | 染色体の安定性はどのように維持されているのか? 〜ICF症候群の原因遺伝子の機能解析から見えてきたこと〜 |
講師: | 鵜木 元香 |
所属: | 九州大学 生体防御医学研究所 |
担当: | 宇井彩子 (所属 分子腫瘍学研究分野・内線8469) |
要旨: | ICF症候群は免疫不全と、DNAの低メチル化を伴う染色体の不安定化、顔貌異常を主徴とする稀な遺伝病である。ICF症候群のおよそ半数の患者では、セントロメア領域とその周囲のペリセントロメア領域に存在する反復配列にDNAの低メチル化が認められる(残りの半数の患者ではペリセントロメアの低メチル化のみ認められる)。私たちはエクソーム解析でICF症候群の原因遺伝子としてクロマチンリモデリング複合体を形成するCDCA7とHELLSを同定した。その後の機能解析により、CDCA7とHELLSはKu80のDNA損傷部位への集積を促進し、非相同末端結合(NHEJ)型DNA損傷修復に関与することを見出した。現在、ICF症候群の分子病態の理解をさらに深めるべく研究を進めており、なぜICF症候群では特定のゲノム領域の低メチル化が起こるのか、なぜその領域を介した染色体融合が起こるのかについてのヒントが得られつつある。本セミナーでは未発表の最新知見も紹介し、染色体の安定性維持機構について考察する。 |